ピアノの先生は、医者になったつもりで
ず~~~っと考えていました。
大人の生徒さんに、「弾きたい曲」を弾かせてよいのか、いけないのか?
自分なりに、こうすることに決めました。
●「弾きたい曲」の難易度が低い場合……弾かせる。
弾けた喜びから、もっと別の曲も弾いてみたいと思うはず。
●生徒さんの実力より、難易度が高い「憧れの曲」の場合……これが問題。
かなり背伸びして、やっと弾けても、燃え尽き症候群となりやすい。
このような場合は……
(1)ありのままを、生徒に伝える。
・この曲を綺麗に弾くには、このようなテクニックが必要。
・そのテクニックが身についてから弾けば、素敵な演奏に……(実演A)。
・でも、まだテクニックがついていない今、弾くと、こんな演奏になりやすい(実演B)。
・そのテクニックがつく期間は、個人差や練習量にもよるけれど、平均○年くらい。
・易しく編曲した楽譜だと、原曲とは少し感じが違うけれど、丁寧に弾けば素敵に……(実演C)。
(2)その上で、本人に選択して頂く。
選択肢は……
① たとえ完成度が低くてもいいから、今、原曲で弾きたい。
② 相応のテクニックが身についた○年後に、原曲を、高い完成度で弾きたい。
③ 易しい編曲でもいいので、今、この曲を弾きたい。
④ その他
何番を選ぶかは、生徒さんの自由。
・余命1年の宣告を受けている人なら
……「①完成度が低くてもいいから、今!」と答えるかもしれない。
・まだ若い人なら
……「②テクニックのついた○年後、素敵に弾きたい」と思うかも……。
・「今は『③編曲』を選んで、力がついたら『②原曲』を」と言う人もいるかもしれない。
(3)本人の選択に、先生は従う。
医師は、いくつかの治療法の長所やリスクをきちんと説明をし、
患者は納得して治療法を選択し、最終的には患者の選択に従う。
ピアノ教師も、それぞれの長所短所をきちんと説明して、
生徒さんは納得して演奏曲を選択し、ピアノ教師はその結果に従う。
医療でよく聞く「インフォームド・コンセント」を調べると、こう書いてありました。
インフォームド・コンセント(英: informed consent):「正しい情報を得た(伝えられた)上での合意」を意味する概念。
ブログ村
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪