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2016年8月29日 (月)

パターン化された左手の動き -シニアのための編曲(5)


知っているメロディーは、適切な指番号で、何度も練習さえすればたいてい弾けます。

問題は、左手の伴奏です。

・自分の家では弾けても、人の前で弾くと暗譜を忘れ……悲惨な結果になるか?

・あるいは上手く弾けるか?

の要因は左手にあると、シニアのための編曲(4)で書きました。

①和音の種類が少なければ少ないほど、成功率は高い。(展開型も、別物の和音)


暗譜の仕方が、こどもとシニアとは違うようです。

例えば、左手の小節ごとに、「ドミソ」なら赤、「ドファラ」なら青、「シレソ」なら黄色……と、色分けしていた生徒さんがいらっしゃいました。

この「色分けによる和音の識別法」は、他に何人かのシニア生徒さんもされていました。

子どものレッスンでは、そのような生徒さんに出会ったことは一度もありません。


たぶん、シニア生徒さんは、パターン認識力が優れているのでしょう。

パターン認識とは、自然情報処理のひとつで、雑多な情報を含むデータの中から、意味を持つ対象を選別して取り出す処理で、「認識とは、結局どのクラスに分類されるかという識別問題に帰着することができる」という立場の研究が、人工知能や統計の研究と融合して大きな成果をあげているそうです。

様々に変化した伴奏形であっても、それがドミソ系・ドファラ系・シファソ系…どのパターンか? と分類して覚える……というのは、事象の規則性や特徴を認識して体系化して理解するというパターン認識です。


また、次のような特徴もあります。

②何種類もの和音が出て来ても、それが「パターン化」されていれば大丈夫。

(例えば. 同じ手の形でずれていく。5-21-5-21規則的にずれる等)


これらの特徴から、左手の動きがパターン化されている編曲の方が、シニア生徒さんは覚えやすいといえるでしょう。

無意味記憶(不規則なものを闇雲に記憶すること)は、加齢とともに低下します。

よって、不規則に動く音を記憶するのが、子どもは簡単でも、シニア生徒さんは難しいのです。

しかし、体系的で規則性のあるものを覚えること(有意味記憶)は、加齢の影響を受けづらい。

ということとも関係あるかもしれません。



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