2017年10月11日 (水)

思い上がっていた

 

思い上がっていた

思い上がっていたよ!

……生徒さん達が、口々におっしゃいました。

 

チャイコフスキーピアノ協奏曲を練習しているグループの生徒さん達。

大勢のオーケストラと一緒に演奏する協奏曲を、

2人での連弾なら、何とか雰囲気を味わえるかと提案したら、

ソロで弾きたいです」

とのご希望。

 

本人の希望を尊重したいと、(悪戦苦闘の末)ソロ用に編曲したものの、

……やはり難しくて弾けないご様子。

 

「今までの曲は、たくさん練習さえすれば弾けた。

でもこの曲は、いくら練習しても弾けないんだ。」

 

「『努力すれば可能なもの』と『努力しても無理なもの』がある」

と学び、自分が「思い上がっていた」と感じたとのこと。

 

 

こういう経験はこういう経験で、価値があると思います。

 

出来るだろう→出来ない→「思い上がっていた」と反省→以後は適切な選曲→良い演奏

その連続で、少しずつ成長していくのだと思います。

 

「こう、弾きたい!」との意志を持てたこと、

その結果、「思い上がっていた」と思ったこと、

謙虚さを学び、この経験を今後に活かし、さらに成長すること。

……沢山のことを学ばれました☆

 

来月の「弾き合い会」では、たとえ自分で納得の演奏が出来なかったとしても、

大きな収穫を手にすることでしょう。

 

 

私も、同じです。

出来るだろうと思っていたことが、実際は出来なくて、

思い上がっていた!

と反省すること、しょっちゅうです。

 

 


Diagos
 

見るべきは花ではなくカゴ(家族の手作り)

2017年9月21日 (木)

音楽の「断捨離」 ~スコア譜とともに悶える 

 

今までに、連弾曲で取り上げたものは、

「連弾:さくらさくら連弾」(『趣味で楽しむピアノレッスン2』)

「連弾:よろこびの歌」(『趣味で楽しむピアノレッスン3』)

など、「メロディー」と「2小節が弾ければ全て弾ける伴奏」でした。

ですから、連弾の大変さよりも、「合わせる楽しさ」の方を感じられました。

 

でも、「ピアノ協奏曲No.1」は、その方法では無理。

 

さーて、どうすればよいの?

 

参考になるかと、この曲の他のソロ用楽譜を見てみました。

でも、どれも高難度な上級テクニック

まったく役に立ちません。

 

何十名ものオーケストラ奏者とピアニストによる「協奏曲」を、

たった2人によるピアノ「連弾曲」にしただけで、華やかさは軽減。

それをまた「ソロ曲」にすると、さらに軽減され、

しかも、高度なテクニックを使わず……となると、

……ああ、むずかしい。。。(葛藤)

 

そこで、一からスコア譜を見て考えることに。 

Pianoconcerto1

生徒さんの力量以上の高難度にせず……、

でも、原曲の素敵な雰囲気が感じられ……、

ミスする確率を、できるだけ低く……、

シニア生徒さんが、楽しく気持ちよく弾ける。

……目指すは、そんな編曲。

 

そのために、何を捨て、何を残すのか?

どの音には目をつむり、どの音は重要視するのか?

……まさに、音の断捨離

Pianoconcerto2


スコア譜とにらめっこで、もだえ狂う私でした。

 

 

(この記事の「つづき」は……2ヵ月後。

弾けるようになる? ならない? 

2ヵ月後のホームコンサートで。)


2017年9月18日 (月)

生徒さんの言い分にも、一理あり

 

連弾:「チャイコフスキーのピアノ協奏曲No.1」を生徒さんたちに紹介したら、

全員一致で、「その曲、弾いてみたい!!

 

ところが! 生徒さんが弾くには、ある条件があったのです。

 

「連弾ではなく、1人で弾きたい

という条件でした。

 

「家で、自分のパートだけ弾いてもつまらない」

「レッスン時間以外は、一緒に練習できない」

「演奏が正しいかどうかも、よくわからない。」

……などが理由。

 

確かに連弾って、パート譜を弾いても、あまり魅力的ではない。

全パートが一緒に響いて、初めて素敵な音楽に☆

 

しょっちゅう一緒に練習できる「楽団」「部活」「家族連弾」などとちがい、

生徒さん同士が合わせられるのは、レッスン時のみ。(週に1度。隔週なら14日にたった1度)

 

生徒さんの言うことにも、一理あり

 

うーん、どうしたらよいものか……?

 

このような希望が出ることを全く想定していなかったため、

私は安易に、こんな言葉を口にしたのでした。

「それでは、この連弾曲を、ソロ曲に編曲しましょう。」

 

そのときの私は、その後にどんな地獄が待っているかなど、考えも及びませんでした。

               (つづく)

2017年9月16日 (土)

「チャイコフスキーのピアノ協奏曲No.1」で全員一致も……

 

2人で弾く「連弾曲」、何人かで弾く「アンサンブル曲」を、

楽しいです♪ 大好き☆

とおっしゃる生徒さんもいらっしゃいます。

 

個々の演奏力がまだ高くなくても、何人かでパート分けして弾くことで、素晴らしい音楽の世界が広がりますものね♪

その気持ち、わかります☆

 

あるグループで、次に弾く曲を決めるとき、選択肢の一つに、『趣味で楽しむピアノ・レッスン レパートリー 月光』の中の連弾:「チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1」をとりあげました。

雰囲気を伝えるために、私一人で弾いて……。

 

それを聴いた生徒さんたちは、全員が、「弾いてみたい!!」との希望で一致☆

 

やはり、素敵な曲ですものね♪

誰でもがどこかでメロディーを聴いたことのある名曲。

ええ、ええ。私も、大好きです♪

 

ところが、生徒さんが弾くには、ある条件があったのです。

その条件とは……

       (つづく)

2016年9月12日 (月)

シニアのための編曲(15)-まとめ 

 

シニアのための編曲、今まで書いたものをまとめます。

 

②「もし作曲家の能力が、シニア生徒さん位だったとしたら……どんな手法、どのような音で、どう表現するだろう?」と考えて編曲する。

③なるべくなら「きれいな響き」にしたい。けれど……

不協和音を出すリスクと隣り合わせなので、左手の音のとり方は慎重。

⑤左手は……和音の種類が少ない編曲の方が、うまく暗譜演奏できる(スリーコード→少しずつ慎重に増やす)。

⑫和音ではない場合は……片方の手が複雑に動くとき、他方の手の動きはシンプルに動く(全音符・同音・上行のみ・下行のみ・平行進行・反行進行など)。規則的なパターン化された動きの方がよい。

⑦「両手で異なる動きを同時にする能力」は加齢とともに低下するため、片手では弾けても、両手で弾けないことがある。 

⑥「易し過ぎ」も「難し過ぎ」も学習意欲が湧かない。頑張れば手が届く難易度がよい。

自分以外の演奏に頼り過ぎず、

⑩魅力的な見せ場があって、

少し長めがよいけれど、暗譜可能な手法でないと暗譜が難しい。

曲想に関しては、子どもより優れているので、あまり細々指示しない。

⑭指番号も……「両手が同じ」「パターンが決まっている」方がよい。4指・5も避けずに使う。

  

……など、シニアのための編曲について書いてきましたが、私も失敗の連続です。

 

シニアが弾きやすい、よかれと思っても……考え過ぎてしまい、かえって弾きづらくなったり、 

弾けると思ったことが、シニア生徒さんには意外と難しかったり、

難しいと予想していたことが、意外と簡単だったり、

……新たな発見の連続。

 

ああ、こういう動きの方がうまく行くんだ、こういう指使いの方が弾きやすいんだ……と、生徒さんに教えて頂くことばかりです。

少しでもシニアの生徒さんに合った編曲ができるよう、これからも努力します☆

                完

 

2016年9月11日 (日)

弾きやすい指番号が、シニアとプロでは違う -シニアのための編曲(14)

 

『乙女の祈り』のレッスンで、書いてある指番号は「2」ですが、10人中9人、いえ20人中19人が「1」と弾く……という箇所がありました。

なぜでしょう? 何か必ず根拠があるはず。

観察して分析すると、指番号にも様々な法則がありました。

 

①両手が異なる指番号(左4-5、左3-右4など)よりも、

両手が同じ指番号5-右53-3など)の方が、ミスが少ない。

つまり、片手奏で弾きやすい指番号と、両手奏で弾きやすい指番号はちがう。


②異なる指番号から始まるより、指番号もいつも、コレ!」とパターンが決まっている方が、ミスしない。

例えば、指が足りなったら「指またぎ」する方法

Hungarian1_3よりも、

Hungarian2
と、同じパターンを繰り返す方がミスが少ないようです。


また、次の楽譜の最初の5つの音は、いつも同じ指番号です。

Siroi2

下のように、何種類ものパターンがあると、ミスが増えるようです。

Siroi1_2

その他に、私が気をつけているのは

4指・5指は「難しいから」と避けたりせずに使う。 

使わないと益々退化していく」し、「2指・3指を動かすより、4指・5指を動かす方が、脳が活性化する」ことが分かっているからです。

                        つづく

 

2016年9月 9日 (金)

片手ずつは弾けても、両手奏が‼ ‐シニアのための編曲(12)(13)

 

「片手ずつは難なく弾けるのに、両手ではうまく弾けない。」ということがあります。

左右の手が異なる動きを同時にする」ことは、加齢とともに難しくなる」からです。

1

     子ども 初期成人 中期成人 後期成人


一方の手が複雑に細かく動いても、他方の手の動きがシンプルならば、うまく弾けます。例えば、次のように。

 

・他方の手は、動かない(全音符など)

・他方の手が細かく刻んでも、ずっと同音

・他方の手が、隣の音に動く。(下行のみ、上行のみ

・左手と右手が同じ方向に動く(平行進行

・左手と右手が反対の方向に動く(反行進行

5本の指を鍵盤に置いたまま弾く(指くぐり・指またぎ・指広げ・指寄せ・指替えなどがない) 

シニアのための編曲をするとき、気をつけています。



●スラーのかけ方 -シニアのための編曲(13)-

「別れの曲」は、シニアの方にとっては、ショパンの原作より、映画「別れの曲」の主題歌(歌詞つき)の印象が強いようです。そのため、原曲のスラーではなく、映画主題歌のスラーを採用しました。


2016年9月 5日 (月)

曲想……シニア生徒さんは豊かです -シニアのための編曲(11)-

 

強弱をどうするか? どんな曲想をつけるか? どんな気持ちで弾くか?

……などに関して、シニアの生徒さんの方が、子どもよりも優れているなと感じています。

ピアノの前に座ると、自分からせつせつと説明を始める方もいらっしゃいます。次のような感じで……。

「ここは、静か~に始まって、このあたりから徐々に盛り上がっていって、ここを一番強くして、ここからはシーンと静かになり、最後は海のかなたに消えていくように終わりたい。」


この曲を「どう弾きたいか?」ということに関して、シニア生徒さんは本当に豊かなものを持っていらっしゃいます。

長く生きてきたシニアだからこそ、音楽に人生を重ねて、「どう弾きたいか?」を考える。

曲想という面で、子どもよりも明らかに優れています。

 

ですから、強弱記号は必要最小限に留め、あまり細々と指示しないようにしています。

もっと細かい強弱やペダルなどは、各自が自由に楽譜に書き込んでよいことにしています。

(書かれたものは、もちろん一人一人違うし、違って良いのです。)

 

指は、子どものように速く器用に動かないかもしれません。

でも、「想いをこめる」「曲想をつける」などは、長く生きてきたシニア生徒さんはとても上手!

「シニアの強みを前面に出すような編曲」を心がけたいと思います。

                    つづく


2016年9月 2日 (金)

ちょっと長めで魅力的で -シニアのための編曲(9)~(10)

 

●長さは -シニアのための編曲(9)

①第3巻終了あたりまで来ると、あまり短い曲(8小節、16小節で終わり)よりも、ある程度の長さのある曲を弾く方が満足感が高まるようです。

②しかし、あまり長いと集中力が持たず暗譜演奏が難しくなります。

そこで、「ABAの構造」でA2出てくる曲、「AA’の構造」でテーマを変化させて、もう一度弾く。(左手は同じで、右手のみ1オクターブ上がる、装飾をつける等)

などで、「長い曲を弾く」「暗譜の成功率を高める」の二つを両立できます。

A2度くり返されても、全く異なる左手では、効果低い)

 

●魅力的な見せ場も -シニアのための編曲(10) -

そして、どこか一カ所、難しい弾き方、見せ場、カッコイイ所など、聴かせ所があると、意欲が湧きます。人前で弾く場合は特に。(例えば、ペダルを踏む、アルペッジョでパラパラ、腕をクロス、鍵盤の中央だけでなく端まで使う……等々)ただし、「難易度」で書いたように「頑張れば手が届く」難しさです。

                      つづく

 

Taniku_2
1オクターブ半のピアノ(多肉植物)

2016年8月30日 (火)

難易度・両手奏など -シニアのための編曲(6)~(8)

 

難易度の匙加減 -シニアのための編曲(6)

極端に難しいものは、意欲が湧かない。(例えば、指をこんなに速く動かすのは不可能。不規則な音の羅列、長さが膨大で無理……等々)

でも、あまり簡単すぎても、意欲が湧かないし満足感も低い。

つまり難易度は、頑張れば手が届く(頑張らないと手が届かない)という匙加減が、最も意欲が湧くようでした。

 

片手奏ではなく両手奏、 -シニアのための編曲(7)

片手奏よりは、たとえどんなに簡単であっても、片方の手は膝の上ではなく、両手奏がベター。

最初の導入段階では、つなぎ弾き(メロディーだけを、左右の手が分担して弾く)という両手奏もよいのですが、やがて、ハーモニーもついた音楽が素敵に思えてきます。

「左手がずっとドとソだけ」という両手奏も、第1巻では良いのですが、それ以降はちょっと……。

 

頼り過ぎない演奏 -シニアのための編曲(8) -

派手なカラオケ音源によるサポート演奏・過度に先生にサポートされた連弾……

最初は、「気分よい!」と感動されます。

でも、最初だけ。徐々に「だから何?」に。

自分以外の力に頼った演奏より、

自分が努力した結果、自力で両手で演奏できた時にこそ、本物の感動と喜びを感じるようです☆



Natsu

夏の小物たち